原作勝手にクライマックス予想
〜さよならを言う前に〜
 遥かなるナイルの流れに沿って、船は王家の谷のあるルクソールへと向かっていた。
 夜空に瞬く星はとても綺麗で、明日も空は雲ひとつ無く晴れるだろうと思わせた。
「……」
 これが、純粋に観光目的で来たのなら、きっと船から見える素晴らしい夜景を心から楽しめたに違いない。
 しかし今、杏子はそんな気分にはなれなかった。
 彼女は甲板の縁に凭れてナイルの暗い川面を見つめながら、先刻の遊戯との会話を思い出していた。
 もう一人のボク。――遊戯がまだそう呼んでいる「彼」は、昼間、遊戯達がピラミッドを回ったりしている間も姿を見せなかった。遊戯も、彼が心の奥から姿を見せないと言っていた。
 明日の朝には、この船はルクソールに着く。
 そうしたら、七つの千年アイテム全てを「王の記憶の石版」に入れ、「闘いの儀」を経て、王の魂たる彼は冥界へと旅立つのだろう。
 遊戯は、彼はずーっと闘い続けてた、と言っていた。
 確かにその通りだ。三千年前、王として生きていた時も、遊戯の力を借りて復活を果たした後も、彼は闘い続けていた。安らぎの時間など殆ど無く。
 そんな彼の長い闘いが、ようやく終わる時が来たのだ。
 それは、仲間として友達として、喜ぶべき事だ。彼がいなくなってしまうのは寂しいけれど、やっと彼は安らぎを得て、ゆっくり休む事が出来るのだから。
 それなのに。
(……遊戯……)
 杏子は、そっと目を閉じた。
 思い浮かぶのは、ほんの数ヶ月前。
 バトル・シティ直前に、束の間彼とデートした時の事だ。
『例え心が二つあっても……、あなたが向かい合うのは自分自身の心だよ。だから、自分の心に正直でいて』
 彼女は、確かに、躊躇う「彼」にそう言った。
 だが、彼女は今、あの言葉を後悔している自分に気付いていた。
 間違った事を言ったつもりは無い。無論、彼が自分の求めていた「自分自身の記憶」を取り戻す事が出来たのは嬉しく思うし、その気持に偽りは無い。
 けれど、同時に彼女は、彼がいなくなるのは嫌だと強く願っているのだ。
(……なんて……、勝手なんだろ……私……)
 明日、彼はいなくなってしまうのだ。
 遊戯は彼の魂と闘い、きっと勝つのだろう。
 ――遊戯は強い。彼の為に全力でデュエルし、そして彼の為に、彼に勝つだろう。その覚悟は、遊戯にはとうに出来ているのだから。
 覚悟が出来ていないのは自分の方だ、と杏子は思った。
 心の片隅で、遊戯が彼とのデュエルに負ければ、まだ彼は遊戯の中に居てくれる。
 そんな風に思う嫌な自分がいるのだ。
 彼女はほんの数分前、ここで城之内が遊戯に言った事を知らない。
『バッグの中の千年アイテム……、全部この川に捨てちまおうぜ』
 それなのに、彼女も全く同じ事をふと思いついたのだ。
 千年アイテムを川に捨ててしまえばいい。――そうすれば、彼はずっと遊戯の中に居てくれる……。
(……! やだ、あたし、何を!?)
 慌てて頭を左右に振って、その恐ろしい考えを打ち消した。
 それは自分の身勝手な考えに過ぎない。そんな事をすれば、彼の魂を遊戯の中に閉じ込めてしまうだけなのだ。 
 それが分かっていても、傍に居て欲しい。
 引き止めたい。
 そんな想いが、別れが確実に迫っている今、強く彼女の心に込み上げる。
「……!」
 涙が溢れそうになり、杏子は慌てて上を向いた。夜空を飾る美しい星の数々が霞んで見えた。
「杏子」
 そのまま嗚咽を漏らしそうになった彼女の背に、やや低い声がかかった。
 杏子は慌てて目元を拭い、顔は川面に向けたまま声だけで応えた。
「……遊……じゃなかった、アテム。……ど、どうしたの?」
「別に今まで通りでいいぜ。相棒も、……オレを『もう一人のボク』って呼んでくれてるしな」
「……そう。そう言えば、遊戯もそう言ってたっけ。……遊戯はずっと、あなたをそう呼んでたから……」
 杏子は俯いたまま、彼が近付いて来る足音を聞いていた。
 足音が止まった時、彼は杏子のすぐ隣にいた。
「……色々、考えてたんだ。オレ自身の記憶の事。……明日の『闘いの儀』のこと……」
「!」
 彼は、鋭い眼をナイルの遥か彼方に向けながら、千年パズルをそっと手に包み込んだ。
「明日は、相棒がオレと闘う事になる。……だから、その為のデッキを色々考えてた」
「そ、……そっか。 いいデッキが出来た?」
「ああ。……オレが思い付く限りでは、最高のデッキだ」
「そう」
 杏子は、僅かに肩を震わせた。
 それは、昼間よりぐんと涼しくなった夜風のせいではない。
「……じゃあ、遊戯にも勝てる?」
 暫く続いた沈黙の後、杏子はぽつんと呟いた。
 彼は、杏子の質問の意図を測りかねた。――何故そんな事を聞くのかと、鋭い双眸に疑問符を浮かべて杏子の顔を見た。
 そしてその時、初めて気付いた。
 杏子の頬を伝う雫に。
「……杏子?」
「……え?」
 気遣うような声と共に、細い指が杏子の頬をそっと拭った。
 優しいその感触は、かえって杏子にとっては辛かった。
 その行為は、今まで杏子が抑えて来た涙や感情を、流露する引き金となるだけだった。
 杏子は、嗚咽混じりで呟いた。
「……って」
「杏子?」
「勝って。……遊戯に勝って。……何処へも行かないで。私達と一緒にいて。……お願い……」
 彼は、杏子のそんな泣き顔が哀しかった。
 そして、何故今になって杏子がそんな事を言うのかが分からなかった。躊躇う彼の背中を強く押してくれたのは杏子だ。あの日、彼女と共に美術館へ行かなければ、彼は記憶を取り戻さなかったかも知れない。
「どうして……」
 呟いた疑問に対する答えは、暫く無かった。
 杏子の想いを、彼は知らない。
 杏子は思う。――彼にとって自分とは、あくまで「仲間の一人」なのだろうと。
 大切でかけがえのない存在とは想っていても、その感情は、彼女の想いとは対を為さない。
 だったら、今更自分の気持を伝えた処で、彼を困らせるだけだろう。
 分かっていても、杏子にはもう、抑える事が出来なかった。
(今、言わなきゃ……、きっと、後悔する。もう二度と言えない。……彼は、私の気持ちを知らないままで行ってしまう。……勝手な考えかも知れない、でも……!)
 周囲には、二人の他に誰もいなかった。
 今、杏子の想いを聞く者があるとすれば、それは目の前に立つ彼と、このナイルの流れだけだ。
 杏子は、元々自分自身の言いたい事は、はっきりと言う性格だった。それが相手に対する誠意でもあり、下手に自分の心を隠そうとしない事こそが、本当に信頼出来る関係を築いていけると思っていた。
 そんな彼女が、初めて彼に対して抱いた感情をずっと口に出さずに来た事自体、不自然な事だった。
 そして彼女は、そんな風に自分自身の気持ちを偽ったまま、偽りの笑顔で彼を見送りたくないと思った。
 誰よりも好きで大切な人の旅立ちだからこそ、例え泣き顔になっても、作り笑いで送り出すような事はしたくなかった。
 だから、彼を困惑させるだけだと思っても、自分の心の内を告げる事を選んだ。
「……好き」
 いつもはっきりとものを言う杏子にしては、その声はひどく頼り無く、僅かに掠れていた。
 気を付けて聞き取らないと、船が水をかく音にさえ掻き消されてしまいそうな程に。
「……」
 彼は、黙ったままだった。
 どう答えたら良いか分からなかった。
「……あなたが好き。ずっと、……ずっと、好きだった」
「杏子……」
 彼は立ち尽くしたまま、自分を見つめる杏子の、僅かに涙で潤んだ瞳をじっと見つめていた。
 眼を反らす事は出来なかった。それは、杏子の想いから、そしてそれに対して答える事から逃げる事になるからだ。
「ねぇ、遊戯。――覚えてる?」
 杏子は、ふと彼から目を離し、手すりの向こうに果てしなく続くナイルの暗い川の流れに視線を向けた。
 バトル・シティ前。今にして思えば、あの時童実野港で海を見つめながら杏子が彼に言った一言が、始まりとなったのだ。
「いつか、二人で会った時のこと。――私、言ったよね。『例え心が二つあっても、向き合うのはあなた自身の心。だから、自分自身の気持ちに正直でいて』って……」
 彼は、杏子と同じ方向に眼をやりながら小さく頷いた。
 漆黒の川面が、束の間、あの日見た童実野港から一望出来る海に重なった。夕陽を反射して輝く黄金色の海面と汽笛の音が、鮮やかに蘇る……。
「あぁ。……杏子があの言葉を言ってくれなければ、今のオレは無かった。本当に、ありがとう」
「――でもね、遊戯」
 杏子は、僅かに声を低くして、早口に呟いた。独り言のようにも聞こえた。
「言わなきゃ良かったって、後悔してる。――あんな事、言わなきゃ良かった。正直に私の気持ちを言ってさえいれば、あなたは今も、そしてこれからもずっと私達と一緒にいてくれたかも知れないって!!! こんな風にあなたとの別れが来る事なんて、無かったって!!!」
「杏子……」
「あんな事言っておいて、私、……自分で自分の気持ちに嘘ついてた。あの時、本当は私、こう言いたかったの。『私だって、ずっとあなたに傍に居て欲しい』って……」
 杏子は顔を上げ、空を見上げた。
 まだ、視界は涙で霞んでいた。だが、今までずっと言えなかった事を言ってしまった事で、少しだけ心が軽くなった。
 思い切り息を吸い、杏子はもう一度、彼と向き直った。
「……アテム」
 敢えて、彼の「本当の名前」を口にする。
「あなたが好き。――大好きよ」
 夜風が、杏子の肩までの髪をやさしく掠めていく。
 二人の間に、暫し沈黙が流れた。
 彼は――アテム、そう呼ばれた鋭い眼の遊戯は、ふと思い出していた。
 遊戯に言われた事を。
『もう一人のボク。あのね、……ちょっとお願いがあるんだ』
 そう言って、遊戯が彼の部屋を遠慮がちに訪れたのは、今を遡ることほんの数分前の事だ。
『ご、ごめんね。……何か、考え事してた、かな?』
『いや、遠慮なんてしなくていいんだぜ、相棒。――で、どうしたんだ?』
『あのさ。……さっき、杏子を甲板で見かけたんだ。……だから、その、杏子と二人で、会ってくれないかな』
 彼は困った顔をして、首を傾げた。
 その真の意図までは読めなかったが、少なくとも遊戯が自分に気を遣っている事だけは分かっていた。
『? どうしてだ、相棒……?』
 お前こそ、折角のチャンスじゃないか、杏子と二人で会って来いよ。
 そう続けようとしたが、遊戯の強い口調に遮られ、結局言えなかった。
『どうしても。……お願いだ、もう一人のボク』
 遊戯は、基本的に自分の考えを押し通すような事を滅多にしない。
 自分自身の正しいと思う信念は貫き通しても、決して強制するような事はしない。
 それなのに、その時の遊戯の眼差しは、彼の反論さえ許さない程強い意志が込められていた。
 そんな遊戯の気持ちを汲んで、彼はここへ来た。
 ――そしてやっと、遊戯が自分と杏子を二人きりにしたかった理由を理解した。
 遊戯は、知っていたのだろう。ずっと前から。
 杏子の、彼への想いを。
「ゴメンね。――今更こんな事言っても、あなたは困るだけ……分かってたんだ。でも、言わなきゃ私、ずっと後悔すると思った。自分の気持ちを隠したって、あなたを心から見送る事なんて出来ない。あなたは、私が初めて恋した人だから。――嘘の笑顔なんかで見送りたくなかった。……ゴメンね」
 彼は、杏子の肩にそっと手を置いた。
 杏子が泣くのは見たくなかった。――そうさせている原因が自分であるという事実が、彼には余計に哀しかった。
「……杏子。謝らなきゃならないのは、オレの方だ」
「……?」
「杏子が辛かった時に、オレは自分の記憶を追い求める事ばかり考えてた。――杏子が、オレを励ましてくれる陰で苦しんでたなんて、気付かなかった。――すまない」
 杏子は、大切な少女だった。
 けれどその想いは、あくまでも相棒である遊戯から貰った想いなのかも知れない、彼はそう思っていた。
 本当に自分自身の感情なのか、今まで彼にはそれをはっきりさせられる自信が無かった。
 それに彼は、遊戯の本当の気持ちを知っている。
 だから微笑ましい思いで、二人を見守るつもりでいた。――遊戯の暖かな想いを大切にしたかった。
 だが、彼が分かっていたのは、あくまで遊戯の方の気持ちだけだ。杏子の方がどう想っているのかなど、考えもしなかった。自分自身の気持ちさえ、分かっていなかったのだろう。
 だが、今なら。
 本当の名前、記憶。――「自分自身」を形作る全てのピースが揃った今の自分の気持ちがどうなのか、言う事が出来る。胸を張って。
「……『自分自身』を取り戻した今なら、はっきり言える。――オレも、杏子が好きだ」
「……!」
 杏子は、その言葉が嬉しかった。
 だが同時に、切なくもなった。――彼は、杏子を好きだと言ってくれた。けれど、互いに想っていても、決してその気持ちが結ばれる事は無い。
「自分自身を取り戻せたからこそ、今のオレがある。だから杏子。――あの時の言葉を、後悔なんてしないでくれ。お願いだ」
 優しいその言葉の一つ一つが嬉しくて哀しかった。――杏子は、気がつくと彼の胸に顔を埋めていた。
「行かないで……!」
 無駄と分かっていても、決して叶わぬその願いを口にせずにはいられなかった。
「杏子」
 彼の答えなど分かっていた。
 分かっていたのに、改めてそれを聞くと、切なさが一層募っていく。
「――オレには、オレのたどり着かなければならない場所がある」
 そう言いながら、彼は杏子を抱き締めた。
「杏子の気持ちは嬉しかった。何があっても忘れない。――杏子が好きだ。
 杏子、人は誰でも、いつかは帰るべき処に帰る。それぞれの進むべき道を歩んでいかなきゃならない。相棒も、城之内くんも、本田くんも、そして杏子も。――みんな、いつかは一人で歩いていかなきゃならない時が来る。オレもそうだ。
 だけど、例えどんなに離れていても、みんなと一緒に築き上げた記憶や絆は自分自身の心の中にある。それを忘れない限り、例え会えなくても大切な人はずっと一緒にいるんだ。永遠に――自分自身の、心の中に」
 杏子は、力強い抱擁の中で、その言葉を静かに聞いていた。
 彼の言葉を、声を、その姿を――全て、僅かも忘れまいと心に刻みながら。
「杏子、オレはいつでもみんなと一緒だぜ。――みんながオレを覚えていてくれる限り、ずっとだ。だから杏子……哀しまないでくれ」
 不意に、温もりが離れた。冷たい夜風が杏子の身を掠めていく。
「……オレが見定めた、『新たなる太陽』……その日の出の時は近い。もう、行かなくちゃ」
 杏子の耳元でそう囁いた彼は、そっと抱擁を解いた。
 彼の温もりが離れ、冷たい夜風が彼女の身体を掠めた。
「――……さよなら」
 彼は、明日もみんなに言うであろう言葉を、敢えて今、彼女の為だけに言った。
 一瞬だけその鋭い双眸が哀しみに揺れる。それ以上の言葉は、何の意味も持たなかった。彼はそのまま踵を返し、部屋へと向かった。振り向こうとはしなかった。
 杏子は、その後姿を見つめながら思った。彼は既に旅立つ気持ちを固めていて、その歩みを止める事など出来ないのだと。遊戯も、そのつもりなのだろう。
(……私……。私は)
 その時が来たら、こんな情けない泣き顔ではなく、しっかりと心から笑顔で見送りたい。
 そう思った。
「――アテム!」
 杏子は、思い切って、彼を呼び止めた。
「?」
 振り向いた時、杏子の綺麗な顔が、彼のすぐ目の前にあった。
「……!」
 触れ合ったのは、ほんの一瞬だった。けれど、その一瞬の間に彼は目を閉じていた。
 次に目を開けた時、杏子は素早く身体を離して、自分の部屋に向かっていた。
「私、あなたを忘れない。――ずっと!」
 まだ、目が涙に潤んではいたけれど、杏子は、いつもの笑顔を見せた。
「……ありがとう」
 そう言いながらも、彼は、杏子の中の自分が、「思い出の中だけの存在」となる日がそう遠くない事を願っていた。
 自分よりも、もっとずっと彼女を想っている人の事を、彼は良く知っているからだ。
 出来れば、その二人が共に幸せになる事が彼の望みなのである。
 だから。
(相棒)
 彼は、心の奥に引っ込んだまま表に出て来ない遊戯に、心の声で語りかけた。
(……お前も、ちゃんと自分の気持ちを言えよ)
 千年パズルを優しく両手で包みこむ。
 彼は、眠るのが惜しかった。
 ――眼が覚めれば朝になり、王家の谷に着くのだから。
 
 そうして、彼が今までの事を一つ一つ思い出している間にも、船はゆっくりと王家の谷へと向かっていた。
 そこは、彼が三千年の旅路の終わりを迎える場所。
 ――彼自身の帰るべき、故郷へと。

<終>

〜あとがき〜

 最近のWJを見るだに、……なんだか切なさが込み上げます。
 エジプトに来てしまった遊戯達。――それまでの一ヶ月間が読者的には見たかった!!! と思いつつも、いよいよ王サマの旅路は終わりを迎えようとしています。
 もう、本当に全体的に切なくて切なくて。城之内くんの、「バックの中の千年アイテム…、全部この川に捨てちまおうぜ」というセリフが、泣けてきて仕方がありませんでした。
 ぶっちゃけ、捨てちまえ!!!!
 などという事を叫びそうになった大ばか者は私です。
 しかし、杏子ちゃん、とうとうこのまま想いを告げずに終わるのは、幾ら何でもちょっとなぁ……。と、思わずにいられないもので。
 思わずこんなん書いちゃいました(苦笑)。
 実際、杏子ちゃんはここまで女々しい子じゃないとは思うのですが……、あれぐらい、言わせてもいいんじゃないかと。(「あんな事言わなきゃよかった」云々)
 それでも、最後は彼をちゃんと笑顔で見送るのが、杏子ちゃんだと思うのです。
 誰よりも好きで傍にいて欲しいけれど、その彼を束縛するような事は出来ない。
 それを良く分かっていても、感情がそれに付いて来るかは別の問題ですから……。
 杏子ちゃんは、最終的にはきっと表くんとくっつくと踏んでいる私ですが、その前に、ちゃんと彼女自身の気持ちにも決着をつけさせて下さい、と祈らずにはいられないです……。

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